『ディズニーCEOが実践する10の原則』
この本は、まず、wiredあたりのサイトで
ビル・ゲイツがおすすめすする本!
と紹介されていたので手にとってみました。
最近、何をきっかけに本を読むかというとそんな感じの著名人おすすめ、みたいなものから
気になるものをピックアップしているような気がします。
さて、以下などは中身についても言及があるので、ネタバレOKならば読み進めてください。
まず、この本、タイトルがちょっとよくない。
なぜならば、10の原則って書いてありますが
読んでいて明確に10個の原則があるとは思えない。
このロバート・アイガーさんの半生が描かれていて、中身的にはすごく面白いのですが
本のタイトルはもうちょっとつけようがあったと思います。
個人的に、タイトルは100点満点で20点というところ。
ただ、中身は間違いなく面白いです。
一方で、翻訳の仕方に関しては、これまたやや癖がある。
もしかすると、原文に癖があるのかもしれないれど、
〜だし、〜だし、
という形で、つないでいく文章が各所に見られる。
これは癖なのかもしれないけれど、リズムとしてはあまり良くないくらい頻出する言い回しになっています。
さて、ようやく中身ですが、繰り返して、面白いです。
まず、アイガーさんは、米国のテレビ局ABCの下っ端からキャリアをスタートします。
その時点から、上司をどう見ているか、自分の糧にしていく見方が書かれています。
そんな下っ端から、徐々に成果をあげていきます。
結果ABCのトップになる。
普通の人であれば、このABCのトップになるまでの取り組みのところが主に自身の体験とリンクできるところでしょう。
結構ありがちなのですが、アイガーさんも、当初は厳しい事業部にいながら、
工夫を凝らしていくことでその事業を立て直す原動力になる。
そうした積み重ねが評価され、階段を上がっていく訳ですね。
アメリカらしく、元は上司だった人間が、アイガーさんの出世とともに部下になっていく。
さらには、ABCが買収され、ディズニーのCEOにまで上り詰めていくのですが、
アイガーさん的には、ディスニーの経営幹部になってから、社長になるまでの数年、特にCEOになる直前のプレッシャーが一番大きかったように書かれています。
また、スティーブ・ジョブズらとのやり取り、気持ちの交換と、買収の揺れ動き方などが
かなり細かく書かれています。
やはり資本主義社会にあると、経営者というのは、あらゆるものを左右する。
逆にいえば、大多数の従業員は、雇われなのだということが実感できます。
アイガーさんは、そうした意味にいおいて、成り上がってきた数少ない人材なのでしょう。
また本書を通して、アイガーさんの人物像が浮かび上がります。
それは、非常にプレーンな、ニュートラルな人ということです。
いや、もしかすると、近くで仕事をしてみたら、すごくクセのある人かもしれませんが
本を読む限りは、周辺の経営者に比べると、非常に庶民的な感覚、一般的な感覚を持っているという印象を受けます。
もちろん、ディズニーCEO就任直後に、ピクサーを買収するという大仕事を成し遂げてしまうので一般人ではないと思いますが。
それまで壊れていた、ディズニーとピクサーの関係を、
ジョブズを交えて復活させたのはアイガーさんの人柄にあると見えます。
ジョブズがどういう人に対して、信頼をおくか、ということに関しては、
現在『宿無し弘文』
を読んでいるので、これを読みおわったら、また改めますが
ジョブズはきっと、尖った経営者ではなく、包容力、父性のようなもの
あるいはアーティスト的なものを持つ人間に、信頼を抱くのではないかと推測しています。
アイガーさんもその類の人で、特に父性についてはかなり強大なものがあるように見えます。
それにしても、ABCの経営層に入ったのがアイガーさん30代だと思うので
才能のある人間は、早い段階で選ばれるし、
実力に伴って、階段を上がって行ける、というのはアメリカだけにある良さなのでしょうか。
それとも、日本でもこうした才能ベースのビジネスマンのキャリアというのは
ある程度浸透しているのでしょうか。。。
<面白さの星>
★★★★☆
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